2012年 05月 08日
【読書】恋する原発/高橋源一郎

恋する原発

以前「さようなら、ギャングたち」で一度度肝を抜かれている高橋源一郎。
「えっ、これ小説って言っちゃっていいの!?」って言うぐらい衝撃的でしたが、今回のは内容がすごかった。
トンでもないです。

高橋源一郎曰わく「大震災チャリティーAVを作ろうと奮闘する男たちの、愛と冒険と魂の物語w」らしいんですが、スケールが大きいというか枠からはみ出しちゃってます。
もういろいろ強烈なんです、とにかく。
大まじめにふざけていて、だから、とても重いです。
AV監督が主人公(多分…)なので、特に女性は読むのがキツかったりします。
中盤以降にある震災文学論、これがいいです。

ゲンパツを語るには、戦中からの記憶が、水俣病が、9.11が、そして3.11が、
「おそらく、『震災』はいたるところで起こっていたのだ。わたしたちは、そのことにずっときづいていなかっただけなのである。」

著者はこの原稿を書き上げたあとしばらく失語症になってしまったらしいんですが、私は多分、著者の小説はしばらく買わないと思います。
これより凄い(トンでもない)のが出てくるとは思えません。
それと、「ナウシカ」をもう一度読んでみようと思いました。
わたしたちは、腐海とともに生きなければならないのかもしれません。

興味のある方、是非。


「死者とともに生きよ、死は忌むべきものではない、と主張している。死者とともに生きなければ、人は、自分の生きていることの意味を理解できないほど愚かだからだ。」
「『文明』は、そもそも世界を浄化するためのものだった。知識や技術によって、人間が免れることができない『死』や『老化』や『貧困』から逃れるためのものだった。世界にとって、『死』や『老い』や『貧困』は、浄化されるべき『汚れ』だったのだ。」
「追悼と服喪は、起こったことに対してだけでなく、これから起こることに対してもなされるべきだと考えた。それこそが、現在に生きる者の債務であると考えた。なぜなら、そのとき、『未来の死者』が送ってくるメッセージの中に、まだ存在していない、未知の共同体の輪郭が書きこまれている、と考えたのである。」


(坊守 記)
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by housyuji | 2012-05-08 08:32 | 坊守記


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